【入門者必見】白ワインがどのように作られるのか?白ワインの原料から醸造工程を徹底解説!

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【白ワインの作り方がよく分からない!】 白ワインの魅力はたくさんあるけれど、実際にどうやって作られているのか詳しく知りたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事を読めば、白ワインの製造工程全体がわかります。ブドウの栽培から収穫、発酵、熟成とボトリングに至るまでの一連の流れを丁寧に解説。知識ゼロからでも白ワインのできかたがイメージできるようになります。

さらに、自宅で簡単に楽しめる白ワインレシピも紹介。サングリアや白ワインビネガーを作る方法も写真付きでわかりやすく解説しています。

白ワインの魅力と基本

白ワインは、世界中で人気のあるワインです。その爽やかな香りと、さっぱりした味わいが特徴的で、料理との相性も抜群です。ここでは、白ワインの魅力や基礎知識について解説します。

白ワインとは

白ワインは、白ブドウの果汁を発酵させて造ったワインです。赤ワインやロゼワインと比べると、淡いイエローから黄金色をしています。辛口から甘口までさまざまなタイプがあり、料理のアクセントによく使われています。

人気の秘密は、さっぱりとした味わいにあります。赤ワインが重たい印象があるのに対し、白ワインは軽快で飲みやすいのが特徴です。魚介料理やサラダなど、和洋を問わずさまざまな料理と合うため、幅広いシーンで活躍しているのです。

白ワインの歴史

ワインの歴史を遡れば、最も古いものは西アジアで造られたと考えられています。当初は、発酵制御技術が未発達だったため、自然発生的に白ワインが多く造られていました。

その後、ローマ時代からヨーロッパ各地でワイン造りが広まっていきますが、白ワインは常に重要な位置を占めてきました。中でも16世紀以降、シャンパーニュ地方でシャンパンの製法が確立されると、世界中で白ワインの人気が高まっていったのです。

今や世界的に親しまれる存在となった白ワイン。その起源は意外と古く、私たちの生活になくてはならない飲み物へと進化してきたといえます。

白ワイン製造工程とは

白ワインはどのような工程を経て作られているのでしょうか。ここでは、収穫からボトリングまでの製造工程を順を追って見ていきましょう。

収穫からプレスまで

白ワイン作りの第一歩は、適切な時期にブドウを収穫することです。収穫のタイミングは糖度や酸度を計って判断し、気候条件や作柄によって年によって異なります。一般的には9月ごろがベストシーズンです。

収穫したブドウはすぐにプレス機で搾汁します。この際、赤ワインとは異なり、果皮は取り除き果汁のみを使用します。搾汁時の圧力や時間、温度管理が重要で、ゆっくりと低温で搾汁するのがコツです。果汁をそのまま使用すると渋み成分が強すぎるため、一旦果汁を清澄してから使用します。

清澄には沈殿法やろ過法、遠心分離機などの方法が使われます。静置して澄ました後の上澄みだけを使用する沈殿法が一般的ですが、最近ではろ過法も多用されています。ろ過にはプレート式フィルタープレス機が利用され、果汁から微粒子を効率的に除去できます。

清澄した果汁を、ステンレス製やオーク樽などの発酵桶へ移し替えます。この際にSO2(亜硫酸)を加え、酸化や酵母以外の微生物の繁殖を抑えます。これで発酵の準備が整ったことになり、次の工程であるアルコール発酵を開始します。

発酵プロセス

桶に移したブドウ果汁に酵母を加えることで、発酵が開始されます。15~18度程度の温度で2週間ほど静置し、アルコール変換を促します。この工程がワインの味や香りを生み出す大切な時間です。

白ワイン用の酵母としては通常、酵母球菌やブドウ酒酵母が用いられます。添加量や温度管理を適切に行うことで、極力フルーツ由来のアロマを保つことが可能です。発酵初期の低温でゆっくり反応させ、中盤以降徐々に温度を上げていく「温度コントロール発酵」が最適です。

発酵前後で定期的に試験を行い、目的の味わいに到達したら発酵を止めます。赤ワインほど長い期間は発酵させませんので、フレッシュな果実味を保ったまま仕上げます。発酵期間は概ね1~2週間で終了します。

発酵終了後のワインには、重い残渣や澱が含まれています。これは、熟成する前に取り除く必要があります。残渣を取り除くことでワインを清澄化し、品質を向上させることができるのです。澱引き後の清澄なワインを得るため、沈殿やろ過、遠心分離などの操作を行います。

熟成・澱引き・ボトリング

発酵終了後、熟成のために冷蔵庫で数ヶ月寝かせます。この間に、澱(重い残渣)を取り除く澱引きも行います。最後に清澄したワインをボトルに詰め、通常は半年~1年熟成させて出荷します。

熟成期間中は低温でゆっくりと静置します。5度前後の温度が理想で、これによりワインの成分が安定化します。熟成桶の材質によっても味わいに影響しますが、ステンレスタンクが多用されています。

澱引きはワインの清澄化に大切な工程です。温度変化や加圧ろ過、蛋白加水分解などの手法で残渣や濁り成分を取り除きます。タンパク質とタンニンの複合体である濁りを減らすことがポイントです。澱引きをすることで、ワインの品質が向上します。

ボトリング前にもう一度ろ過し、ボトル詰めできるだけ清澄な状態にします。これは見た目だけでなく、熟成を助け長期保存にも役立ちます。最後に、Fuller’s earthやPVPPなどのろ過助剤を使いながら除菌ろ過を行い、ボトルへと詰め込みます。

※Fuller’s earth・・・鉱物由来のろ過助剤の一種です。吸着力が高く、ワイン中の色素や苦味成分を吸着除去できます。粘土鉱物が主成分で、膨潤性もありろ過性能に優れています。

※PVPP・・・ポリビニルポリピロリドンの略で、合成高分子の一種です。こちらも吸着力に優れ、特にタンニンとの親和性が高いことが特徴です。

この2つのろ過助剤を組み合わせることで、ワイン中の不要物質を効果的に除去できます。Fuller’s earthが色や苦み成分を、PVPPが渋み成分を吸着することで相乗効果が得られるのです。

除菌ろ過では、これらのろ過助剤とともにメンブランフィルターを使います。0.45μm程度の微細ろ過で、残存する酵母や細菌を取り除いて微生物学的に安定な状態にします。これで清澄で衛生的な白ワインをボトル詰めできるようになります。

白ワインの原料について

次に、白ワインに使用される主なブドウの種類と、収穫時のポイントを紹介します。

主要なブドウの種類

白ワイン用としてよく使われるブドウには、以下のようなものがあります。

シャルドネ種は、白ワインの王様とも呼ばれています。花や柑橘系の良い香りが特徴的で、ワインの骨格を作る重要な品種です。酸味が高く、他のワインとブレンドするのに適しています。

ソーヴィニヨン・ブラン種は、グレープフルーツような果実味が魅力です。しっかりとした酸とミネラルがバランスが良く、世界的に重要な白ワイン用ブドウです。単独で醸造されることが多い品種です。

このほか、リースリング、ピノ・グリなどの品種もよく使われます。

収穫のポイント

白ワイン用ブドウの収穫時期は、糖度・酸度・含水率を測定して決めます。一般的には、9月から10月にかけて収穫していきます。

糖度が最も重要で、これが一定以上あることが必要です。含水率が高すぎると香りが弱くなる傾向があるので、ある程度低い状態が理想的です。酸もフレッシュな味を保つ上で大切な要素となります。

フェノール成分やアミノ酸なども重要な指標となります。成熟度が進むにつれて糖度は上がりますが、ある点からは逆に芳香成分が減少していきます。技術者が実際のブドウを検査して、バランスの良い状態で判断しています。

最近では含水率を下げすぎない「遅収穫」が注目されています。糖度と酸度のバランスを重視し、自然光線で成熟させることでアロマ成分をより高めようという試みです。熟したブドウ特有の複雑な香りを、ワインに移すことが目的なのです。

これらの条件を総合的に判断し、最適なタイミングで丁寧に手収穫を行うのがプロのテクニックといえます。

自宅で楽しむ白ワインの作り方

続いて、手軽に飲める白ワインベースのカクテルやドリンクをご紹介します。

白ワインサングリアの作り方

サングリアとは、ワインにフルーツを加えた夏向きの爽やかな飲み物です。白ワインをベースに、柑橘類を使った料理がおすすめです。

材料:

  • 白ワイン:375ml
  • レモン果汁:大さじ2
  • オレンジ:1個
  • レモン:1個
  • 氷:適量

作り方:

  1. レモン、オレンジを切る
  2. ボウルに白ワインと果汁・氷を入れる
  3. 切ったフルーツを加えて軽くステアする
  4. 器に注ぎ、好みでソーダorジンジャエールで割って、完成です。

自家製白ワインビネガー

余った白ワインを活用し、簡単に白ワインビネガーが作れます。調理にぴったりな自家製調味料が完成します。

材料:

  • 白ワイン:500ml
  • 果物:リンゴやイチゴなど好みのフルーツを50gほど

道具:

  • 幅口広めの瓶1本
  • ガーゼや綿布、ラップ 1枚

作り方:

  1. 白ワインをビンに入れる
  2. 切ったフルーツを加え、ガーゼやラップで覆う
  3. 温度20~30度の場所で1ヶ月程度発酵させる
  4. 膜を取り除き、さらに1ヶ月ほど置いて熟成させる
  5. ろ過後、ビンやボトルに移して保存できます

発酵が始まると浮き上がる膜ができます。これは、酢酸菌という好気性の菌によるものです。膜ができてきたら成功です。温度管理が大切で、外気温が高い時期を選ぶといいでしょう。

白ワインの作り方まとめ

これまで見てきたように、白ワインは原料のブドウからしっかりとした工程を経て、できあがります。

ブドウを適切に選び、タイミングよく収穫することが基本中の基本です。収穫したブドウをゆっくり低温でプレスし、発酵・熟成・ろ過と明確なプロセスを踏みます。その合間に澱引きなどでワインを清澄化し、品質向上を図っていきます。

一連の製造工程を確実にこなすことで、爽やかな香りと味わいの白ワインが完成するのです。少しでも興味を持っていただけたなら、ぜひ自分でワイン造りにチャレンジしてみてください。素敵な自家製ワインができあがるはずです。

初心者の方向けに、白ワイン造りセットも販売されています。本格的な設備がなくても、簡単に白ワインが楽しめるアイテムです。ぜひチェックしてみてください。きっと新しい発見があるはずです。

KOTA

KOTA

大学では生物学を専攻。卒業後は、Webサイト制作を独学で勉強し、2022年10月にフリーランスに。その後、海外に拠点を移すために海外視察を開始し、ヨーロッパ、東南アジアなどを一人で冒険をし、さまざまな人と交流する。将来の夢は、ヨーロッパに移住し、クリエイティブ・多国籍企業を作り、多種多様なクリエイティブプロジェクトをしていくと共に、パイロットになり世界を旅すること。音楽・ファッションなしでは生きられない。尊敬する人は岡本太郎とココ・シャネル。

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大学では生物学を学び、自然への愛着が深まりました。卒業後、Web制作を独学で習得し、フリーランスの道へ。その後、ヨーロッパへの移住を夢見て海外生活をスタート。ワインとの新たな出会いに魅了され、様々な産地を巡りました。今では、ワインと共に世界中の美しい景色を訪ねる日々。音楽とアートへの情熱も忘れずに。皆さんとワインを通じて出会い、感動を分かち合えたら嬉しいです。

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